国分寺市不登校を考える親の会(さくら草の会)
通信256号 2026 6月27発行
次回の定例会は7月25日です。定例会は第四土曜日2時から4時。会場はひかりプラザの予定です。地域を問わずどなたでもご参加ください。参加無料、予約不要です。
事務局 石井ひろ子042-502-7558(留守電にメッセージを入れてください。おりかえします。)
教育フォーラム「不登校を考える」
不登校・ひきこもりと地域に求められるもの
~子どもと歩む保護者たちの思いに寄り添って~
【日 時】2019年1月26日(土)午後2時~4時30分
【会 場】ひかりプラザ(203、204号室)
【講 師】広木 克行さん (神戸大学名誉教授)
【参加者】73名
(前回のつづき)
ここで仮にいじめがあって学校に行けなかったとしましょう。では、いじめている子どもにいじめを認めさせ、その子に謝らせそして学校の中にいじめがなくなったからといって、子どもは学校に戻れるでしょうか。実は家の中に引きこもるほど深刻な症状のシグナルを出している子どもは既に心に傷を負っていると考える必要があります。不登校になるまでに十分苦しんできてこれ以上耐えられないほど傷ついたから家にこもるわけです。まだ少しゆとりがあるとき、ゴムが伸び切っていない時には子どもたちは苦しみながらも学校に通っているのです。不登校になるまでの何か月か、場合によっては何年も苦しみ続けたその子どもたちが最後、伸び切ったゴムがこれ以上行くと切れるくらいになった時に子どもたちは不登校になる。だから腹痛が起きたり頭痛が起きたり、吐き気が起きたり、いろんな症状がでたり、あの子がと思うような暴力をふるったり、暴言を吐いたりするのはそういう意味なのです。その心に傷を負った子どもたちを本当の意味で救っていくのは、仮にいじめがあったとしてもいじめた子どもに謝らせ反省させ、学校にはもういじめはないから大丈夫だよと言って行けるようなものではないのです。
傷ついた子どもの心にはその心が癒される法則があるわけですから、その法則を無視して外にある原因を何とかしたから学校に戻れるというわけではありません。その意味で実は不登校の原因というのは簡単に決められるものではないし、子ども自身だってわからないことが圧倒的に多いのです。先ほど言ったように学校と子どものミスマッチなどということは子どもにはなかなかわかりませんから。だから自分を責めたり何かを責めたりしながら子どもたちは苦しみぬくわけです。ここに親の自分自身の苦悩が中心のステージに見られる特徴の一つがあります。
そして二つ目に求めるものはどうしたら学校に戻せるかの方法を求めることです。だから相談に来られた99%の親はこう言います。「先生どうしたら学校に戻せるでしょう?」でもその方法は残念ですが誰も答えることはできません。子どもが自ら学校に行こうと思うまで、子どもは休むしかないし、その間子どもは心の傷をいやす大事な時間を過ごすわけですけれど、それ自体が法則なのであって、いつまで子どもが休むか、どうしたら学校に行くかそれは誰も予め見つけることなどできません。
自分自身の苦悩を中心としたステージを約半年間考え続けた一人のお母さんがいました。そのお母さんは親の会に来て他の人の相談や意見交換などをじっと聞いておられました。毎月親の会に来ては部屋の隅に座って皆さんのお話をじっと聞いておられるお母さんでした。いつ発言するだろうかと気になってはいたのですが、ずうっと話しませんでした。でも半年くらい経ったときにそのお母さんは初めて口を開きました。「私はずっとここにきてどうしたら子どもが学校に戻るか、その方法を広木先生はいつ言うかと思ってずうっと座っていました。でも先生はこうすれば子どもは学校に戻りますよと一度も言わなかった。なんでだろう? と思って聞き続けていたら、やっとわかりました。不登校の子どもに関わるには、どうすればいいかではなくて、まず子どもの苦しい気持ちを理解することが大事なのだと。だからあなたのお子さんはこんな苦しみをしているのではないですか、ということを先生はずっと言ってきたのですね。私初めてわかりました」と。
そのお母さんは半年の間、参加された皆さんと私の話しを聞き続け、そういう大切なことを見つけることができたのです。それは第一のステージの終わりを意味する言葉だったと考えられるのです。
第二のステージは子どもの気持ちへと心の重心が変化するステージです。
第二のステージは自分の不安や心配が中心ではなくなり子どもの気持ちはいったいどうなっているのだろうと、自分自身の気持ちへのこだわりを半ばあきらめて、子どもの気持ちへと心の重心を切り替えていくものすごく大事なステージです。そのステージに移るまでの第一のステージではお母さんたちはお子さんから厳しい言葉を浴びせられたかもしれない。または心が凍るほどのお子さんの苦しみを目の当たりにしたかもしれない。場合によっては女の子であっても暴力をふるうことがあったかもしれないのです。
中には暴力を振るわれても、「あなたのその気持ちを知りたい」と思いながら自ら子どもの暴力を引き受けるようになった母親に出会ったこともありました。そのお母さんは子どもの暴力の意味を教えてくださいと相談に来られたのです。
(次回につづく)
