国分寺市不登校を考える親の会(さくら草の会)
通信254号 2026 4月25発行
次回の定例会は5月23日です。定例会は第四土曜日2時から4時。会場はひかりプラザの予定です。地域を問わずどなたでもご参加ください。参加無料、予約不要です。
事務局 石井ひろ子042-502-7558(留守電にメッセージを入れてください。おりかえします。)
教育フォーラム「不登校を考える」
不登校・ひきこもりと地域に求められるもの
~子どもと歩む保護者たちの思いに寄り添って~
【日 時】2019年1月26日(土)午後2時~4時30分
【会 場】ひかりプラザ(203、204号室)
【講 師】広木 克行さん (神戸大学名誉教授)
【参加者】73名
(前回のつづき) 心を大事にすること、自分の心を理解すること、そしてコミュニケーションです。」
すごいお母さんですね。こんなに自分の学んできたことを整理して表現できるなんて。苦しむわが子のために必死に学ぶ母親のすごさを改めて教えてくれる手記だと思いますので、ちょっと長いですが読ませてください。
「まず心を大事にすること。わが子の不登校をどうすればいいかわからなかったので、親としての学びを始め、心を学ぶ講座などに参加するようになりました。子どもの話に耳を傾ける、話さない時は子どもの心を推測する、そしてさらに学んだことは子どもの心だけではなく夫の気持ち、自分の気持ちにも心をはせ尊重することでした。自分の心を大切にし始めると自分がいかに頑張っているか、疲れているかがはっきり見えてきました。自分を休ませると心に余裕ができて、娘や夫も頑張っていることがわかってきました。娘や夫に『どうしたい?』と言葉にして尋ね、自分の気持ちを尊重することに心掛け、また自分がしたいこともはっきり言うようにしました。自分の心を大事にすると人の心も大事にできるのだなと思ってきました。
そのような日々の中でだんだん外にも出られるようになった娘が参加したのが広木先生の講演会でした。なぜ学校にいけないのか彼女自身でもわからないでいた心の中を、講演で語られたお話で解き明かされました。学校での出来事などでもやもやと湧きおこる感情や思いが講演で明確化されすっきりしたようです。弟子になりたいとも言いだしたりして毎週木曜のフリースペースでの活動を楽しみにするほど元気になっていったのです。その後あちこち見学して自分に合ったフリースクールに通うようにもなり、野外活動やボランティアなど様々な出会いでさらに生き生きと変わっていきました。娘は自分の心を自分で表現できない時に広木先生に出会ったことで自分の心を理解でき、次の一歩を踏み出すことができました。」
自分の心が他の人にわかってもらえる。つまり自分の心は異常ではなく他の人にも理解可能な正常な心であると分かった時、この子は動き出したのだと思います。
「そして最後にコミュニケーション。私は長いこと自分が考えていることや言いたいことをあまり言えずに過ごしてきました。私自身が育つとき母が厳しく母の価値観で家庭の中が覆われていたからだと思います。母が納得する言動をしていれば穏やかに過ごせました。何かを何気なく言ったり、したいことをやったりしたときには注意されたり怒られたりしたことがありました。母が子どものために良かれと思って言ってくれていることはわかっていたので、受け止めていました。私は家ではありのままではいられず緊張感がありました。自分が言いたい言葉よりも母が望むような言葉を自然に言うようになっていました。つまり自分の心を大事にしない、自分の心にふたをして過ごしていました。
過去に否定された経験が多くなるとまたこう言われるだろうという否定のおそれが生まれます。でも現実には常に否定されるわけではないはずです。それを否定されるだろうと予測するので否定されるようなことが次々に起こるのだろうと思います。娘が『ニュージーランドに行きたい』と言ったときに、お父さんが『高校を出てから留学すればいい』と言いました。前の私だったら夫に何も言えなかった。でもこうやって自分の心をちゃんと見つめていたので、『お父さん、中学校卒業せんでも、今ニュージーランドに行かせてあげていいんじゃない』と言いました。思い切って言いました。すると夫は『そうか、じゃあそうするか』とあっさり。ダメだと言われることを覚悟で勇気を出したのに、否定されなかった。娘を応援するために乗り越えるつもりでしたが、否定されなかった。」
そのことでお母さんはやっぱり言ってよかったと。子どもから教えられて自分の心をちゃんと夫に言うことができた。いわば夫婦が対話の出来る夫婦としてよみがえることができたと、そんな経験もこのお母さんは書いてくださっているのですね。
こうして親が子どもの心を理解し、そして自分自身を見つめなおしながら、本当の意味で子どもに寄り添える自分になっていくのです。それを私流に表現すれば一つの自己変革と言えるようなそんな気づきなのだと思います。そしてわが子のためこの一人の子どものためにそんな大変な仕事に取り組んでくれる人は世界中に一人、それがこのお母さんなんだと改めて思います。(次回につづく)
